海外企業からの品種登録依頼
東海の中心で海外から品種登録の依頼を受ける
お客様の都合により、国名など詳細な情報は伏せております。
2017年1月、外国の大使館から入電!
海外大手企業が品種登録の依頼をしたいとの事で、当サイトをご覧頂き連絡をくださいました。
聞けば既にEUで品種登録を受けている植物体を、日本市場参入のため日本の種苗法に基づく品種登録をしたいとのことでした。
ところが、その新品種は最初の譲渡から4年経過日が2017年の初頭。
日本の種苗法では、海外での譲渡は出願品種の最初の譲渡から、4年を経過すると品種登録を受け付けてもらえません。
例え1日過ぎただけでも受付拒絶となってしまいます。4年のカウントは最初の譲渡日の翌日から始まりますので、土曜、日曜を挟んでデッドラインはスグソコです。正に死ぬか生きるか。
ご依頼を受けたのは1月初旬。残りは数日。しかも、日本との時差があるご依頼者様との英文メールでのやり取り。
こちらが活動している時間は、ご依頼者様の国は夜中です。日本から昼間にメールを送り、返信が来るのは日付けが変わってから。しかも、海外企業なので土日は完全にオフで連絡が取れません。
地球滅亡まであと2日
このチャンスを逃し品種登録できなければ、ご依頼者様は計り知れない経済的損失を被ります。
とにもかくにも「譲渡証明書」や「委任状」の取り付けが必要です。慌ててフォーマットを送付し、代表者の署名取付けをお願いしました。
ところが、大企業なので代表者のサインを取り付けるにも時間がかかります。しかも英文文書のドキュメントとはいえ、先方も慣れない日本のフォーマットです。
先方が納得する文言のドキュメントになるまで時間がかかり、話が進んでいくのは1日一歩。その間に、会社登記簿や先に出願した国でのDUSテストの結果等をメールで送っていただき、願書、説明書、その他添付書類の作成を進めます。
そして、日本の農林水産省に、スキャンして送られたPDFファイルで品種登録の受付をしてもらうよう交渉し、本編は後日郵送することで了承をもらいました。
ようやく、代表者のサインが入った書類をスキャニングしたドキュメントが届いたのが、最初の譲渡から4年経過日の前々日の真夜中。
地球滅亡の日まであと2日・・・
受付け完了 ミッションコンプリート!
1月16日、愛知県から東京の農林水産省まで新幹線で走ること1時間半。地下鉄を乗り継ぎ、皇居付近の霞が関駅に到着。
走って品種登録受付窓口に向かいます。
午後2時。無事に品種登録の受付印を頂き、ぎりぎりセーフで出願受付完了です!
全身に安堵感が走りました。デッドラインまでとにかく時間がなかったので今回は本当にヒヤヒヤでした。
ですが、もの凄い達成感を味わう事も出来ました。今の仕事をしていなかったら交わる事もなかろう大手海外企業の日本進出のお手伝いに関われたことに「やっててよかった」と帰りの新幹線の中で一人笑みを浮かべながら愛知県に帰りました。
しかし、品種登録の受付は始まりにすぎません。今後も外国企業と当事務所とのやり取は続きます。
更に良いパートナーシップが築けるよう尽力して参ります!
まとめ
品種登録は知的財産権の一種であるため、一歩遅ければ取り返しのつかない事態となってしまいます。
青森県が「ふじ」に並ぶ特産品として、24年かけて開発したリンゴ「あおり21」が、登録手数料を納付し忘れたため品種登録ができなかったとして県が謝罪していたのも記憶に新しいですね。
因みに、青森県は新品種開発に年間1,000万円程度の予算をかけているそうですが、今回の登録取り消しで苗木の流出が危ぶまれています。
当事務所では、このような事態が起きないよう納付日の1ヶ月前にはご依頼者様に納付の通知をするサービスを実施しておりますのでご安心ください。
納付が済むまでは、鬼になってトレースいたします。
また、当事務所は日本全国はもとより世界各国から日本への品種登録のお手伝いをしております。
英語でのやり取も可能ですので「行政書士法人シフトアップ」へお気軽にご相談ください。