品種登録の基礎

注目!品種登録制度をざっくり専門家が解説します

品種登録制度の目的とは?

品種登録制度は、簡単に言うと、植物新品種の育成者の権利保護を行い、新品種の育成を活性化させるための制度です。

日本では古来から、植物の品種改良を行い新品種の育成を行ってきました。新品種の育成には、専門的な知識や技術、そして長期にわたる研究やそれに伴う労力と多額の費用が必要です。しかし、一旦育成された品種は、第3者が容易に増殖することが可能です。

これでは、新品種育成に労力を注いだ育成者が報われません。加えて、日本における植物の新品種の振興が活性化しなくなってしまいます。そこで、植物の新品種を育成した人の権利を守り、第3者が勝手に育成できないようにするために品種登録制度が成立しました。

ちなみに、品種登録制度の根拠となる法律は種苗法です。種苗法は「研究やアイディアなど人の知的な活動によって生み出された形の無い「成果」を保護する「知的財産権」の一種であり、限られた者に、あるモノを独占させるための「独占権」を与えるためのもの法律です。

 

保護対象植物と品種登録制後の要件

保護対象植物

品種登録制度によって保護される植物(保護対象植物と言います。)は、栽培される全ての植物(種子植物、した類、せんたい類、多細胞の藻類)と政令で指定されたきのこです。

 

出願件数の推移

農林水産省の統計によると、平成27年(2015年)の出願数は941件。そのうち外国育成された品種は372件です。登録件数は891件で、そのうち外国育成された品種は352件です。

累計でみると、平成27年現在の有効な登録件数は8629件、そのうち外国育成された品種は2389件。累計出願件数は31255件、そのうち外国育成された品種は1,0299件と公表されています。

 

品種登録5つの要件

品種登録の要件は大きく分けて5つです。以下でざっくり要件を見ていきましょう。

【区別性】

既存の品種と、形、色、耐病性などの重要な形質で明確に区別できること。

 

【均一性】

同一世代でその特性が安定していること(種子繁殖の場合、まいた種から同じものができる)。

 

【安定性】

何世代増殖を繰り返しても同じものができること。

 

【未譲渡性】

主眼日から1年さかのぼった日より前に主眼品種の種苗や収穫物を譲渡していないこと。外国での譲渡は、日本での出願日から4年(木本性植物は6年)さかのぼった日より前に譲渡されていないこと。

 

【名称の適切性】

品種の名称が既存品種や登録商標と類似でまぎらわしいものでないこと。

 

これら5つの要件すべてをクリアしないと、あなたが育成した品種は新品種として登録させることはできません。

 

品種登録の流れ

【①出願】
農林水産省の知的財産課種苗室登録チームに「品種登録願=願書」を提出

【②出願公表】
出願された品種を利用した者が損害を被らないよう、出願品種が主眼中であることを公表します。
具体的には、農林水産省の品種登録ページなどを通じて一般に公開されます。

【③仮保護】
出願から品種登録されるまでの審査期間中に出願者に一定の保護を与えます。
具体的には、審査中に出願品種を生産・譲渡などしたものに対して損害賠償請求が可能となります。

【④審査】
品種登録の要件が満たされているか確認するために、名称の適切性と未譲渡性が調査されます。
調査をクリアすると特性検査(DUS検査)のために出願品種の栽培や現地調査が行われ、品種登録の要件に合致しているかの審査が行われます。

【⑤品種登録】
審査が通ると新品種といて認められ品種登録されます。

 

品種登録されると出願者に育成者権が与えられる

品種登録と同時に、出願者に育成者権が与えられます。育成者権を持つことによって新品種の育成者は、業として登録品種の種苗、収穫物および一定の加工品を利用することが可能となります。

 

育成者権の存続期間

育成者権には存続期間が設けられており、具体的には、登録日から25年または30年と決められています。

【存続期間30年のもの】
果樹、林木、観葉植物等の木本性植物

【存続期間25年のもの】
上記以外の植物

 

まとめ

品種登録制度について、専門家がざっくり解説しました。品種登録制度は日本の農林水産業を活性化させ、種苗の新品種の育成が活発に行われるために設けられた制度です。

もし、新品種を開発したので、専門家に相談してみたいという方はお気軽に行政書士法人シフトアップまでご相談ください。

無料電話相談

Translate »